託宣が下りました。
クラリス様は細い指で、そっと唇を撫でました。「……まあ、あの軟弱王太子を手にかけて人生を棒に振ろうという勇気は賞賛に値する……」
「クラリス!!!」
――暗殺目的は否定した。その事実を知り、わたくしは心の中でほっと安堵の息をつきました。
少なくとも……否定したというのなら、わたくしは姉として、それを信じます。
「ラケシスは、本当は何をしたかったのでしょうか」
何気なく、疑問が口をついて出ました。
一番知りたい問い――分かるはずもない問い。
ラケシスに何か考えがあるのなら、わたくしはそれを知りたい。例え世間が妹を疑っても、わたくしだけは信じていたい。
「……これを見て」
ふと、クラリス様が服の中から何かを取り出しました。
なめらかな手つきでそれをわたくしの前に垂らします。糸の下でふりこのように振れているのは、きれいな水晶石……。
「……この水晶に映っている。この事件は、思いがけない結果で終わる」
「え……」
「よい結果か悪い結果かは分からない。あるいは、どちらにも取れる結果なのかもしれない」
窓から差し込む日を反射して、水晶がきらりと光ります。その向こうに、クラリス様の静かな翠の瞳。
「―――」
思わず、ぽかんとしてクラリス様と水晶を見つめてしまいました。カイ様が隣で苦笑して、