託宣が下りました。

「実はクラリスは占い師なんです。治療師のかたわら町の路地で占っていまして」
「違う……。これが本業」
「……本業が占い師なんです。これでも百発百中で有名なんですよ」
「占い――」

 急に思い出しました。王都の片隅で人々を占う謎の占い師。たいそう美しく、占い自体よりも彼女を目当てに通う客のほうが多いのだとか。

 占いとは、わたくしたち修道女が星の神からたまわる託宣とは違った形で、未来やあらゆることを見抜く方法のことです。どの手法も突き詰めれば星の神の力を借りているとも言われますが……真実は誰にも分かりません。

 クラリス様は水晶を手の中におさめ、涼しげな表情で言いました。

「焦ることはない……。全てはおさまるべきところにおさまる。やるべきことをちゃんとやるだけ」
「ほ、本当ですか」
「私の占いは外れない」

 何なら、とクラリス様はじっとわたくしの目を見つめました。

「占いましょうか……。今ここで、あなたのことを」

 それが当たれば、信じられるでしょう――と。翠の瞳はまるでわたくしのすべてを見抜こうとするように――。

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