託宣が下りました。

 何か占いたいことは、あるかしら……?

 そう問われても、実のところとっさには何も思いつきませんでした。

 星の巫女の(サガ)なのかもしれません。託宣は常に神から一方的にもたらされるものであり、こちらから何かを問うというものではないからです。

 したがって――巫女は国や人のことを想って神に祈ることはあれど、自分の個人的なことを願うことはまずないのです。

 それは逆に言うなら、
 ……自分のための願いを、持つことが許されていないということなのかもしれません。

 思えば当然の話です。修道女とは星の神のために、そして人のために身を尽くす存在であるべきなのですから。

 悩んだあげく、わたくしは正直にクラリス様にそう話しました。

「……構わないわ」

 クラリス様は腰にさげた袋から、てのひらに載るくらいの大きさの石を取り出しました。見たところ紫水晶でしょうか。掘り出してきたばかりかというようないびつな形の石ですが、よく磨かれているのは一目で分かりました。

 クラリス様はテーブルの、光が当たっている場所を選んでその石を安置させました。

「あなたに関して見えるものを話しましょう。それで十分……」
「はあ……」

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