託宣が下りました。
見えるもの――? いまいちどうなるのか想像できませんが、何となくどきどきします。
「く、クラリス、ほどほどに」
カイ様がはらはらした表情で隣のクラリス様を見ています。対して「占いにほどほどなんてない」とクラリス様はそっけない態度。
いびつな紫水晶が、光を浴びてきらきら輝いていました。
見つめていると、何だか――その光の奥に、見てはいけないものが映っているような気がしてきて、胸騒ぎがしました。
クラリス様の翠の瞳がじっと紫水晶に見入り、そして、
「――迷っているわね」
涼やかな声がそっとそう告げました。「何か、二つの大切なものを見比べているあなたがいる……。人生の岐路」
「………!」
わたくしはどきりとしてクラリス様を凝視しました。クラリス様はわたくしのほうを見ていません。
「……まあ、ヴァイスのような馬鹿を伴侶にしなくてはならなくなったのだから、大切なものを色々失いそうなのも道理……あら、何か言いたいことでも?」
こちらを見ていないのにそんなことを言います。先手を打たれた形で、反論も言うに言えません。
「え、ええと」
「話さなくていいんですよお姉さん! クラリスも余計なことを言わない!」