託宣が下りました。
「ヴァイスのことですか?」
カイ様が思わずといった風につぶやきます。
(ふ、不定型な魔物のようなもの……)
唇が引きつる気がしました。かつての自分は騎士をそんな風に思っていたのでしょうか。
言われてみればたしかに理解不能で形のつかめない存在だったのですが……それにしたって何てこと。
「ヴァイスとのことを言うなら……最初は、ヴァイス個人というよりも別の理由で避けていた様子が見て取れる……。何か、子どものころから苦手だったものの象徴……ヴァイスがそれに似ていたか、それを思い出させるものだったか……。……あら、あなた男性恐怖症?」
そうなんですかとカイ様が目を丸くしました。なぜか、ショックを受けているようにも見えます。
「も、もう治りました! ……たぶん」
治ったような気はしているのですが、積極的に男性と交流しているわけではないのでまだ分かりません。分かっているのは、騎士のことが平気になったということだけです。
というか、今さら気づきましたがこの占いはわたくしの内面を人前に暴く行為ではありませんか! このまま続けられては何を言われるか分からない――カイ様もいるというのに!
「あの、よく分かったのでもうよしませんか」