託宣が下りました。
「あら……。何か問題でも」
「は、恥ずかしいので」
「……それは当たっているということでいいかしら」
「………………否定はしませんからもうよして……」
クラリス様が初めて笑った気がしました。薄い唇が、柔らかく動いたのです。
彼女は姿勢をただし、ふっと息を吐きました。
おそらく今話した以上の情報が彼女の中に〝たまった〟のだろうと、わたくしには思えました。それを外に押し出すための呼吸……
それから、クラリス様はようやくわたくしを見ました。
「……これだけは言っておくわ。この先まだ障害は続く。かなりつらい目に遭うでしょう……それでもあなたはどちらかを選ぶ。……そして、後悔しない」
紫水晶を照らす光が――
きらりと、わたくしの目に飛び込んできました。
その光の奥に、何かを見た気がしました。
わたくしは息を呑みました。見えたのは一瞬。形もつかめないほどの一瞬。
けれどこれは――託宣と同じ。自分の外側から、大切な何かがもたらされたときのあの感覚。
何が見えたのかはまったく分からなかったのに……忘れてはいけないと強く思う。