託宣が下りました。

「奪いたいならそう言えばいい。協力してあげてもいい。役に立つ確率は0.1パーセントほど」
「それもう協力する気ないよね!?」

 カイ様はとうとう両手で顔をおおってうつむいてしまいました。ああ、何だかとてもかわいそう。
 託宣もそうですが、占いというのも時として本当に残酷です。

 クラリス様はふっと遠い目をして――それからわたくしに視線を向けました。
 静かな湖面のような声に、小さな波紋が起きました。

「……私の占いは外れない。ただし……未来は無数にあり、また人と人の未来は無限に重なっている。強い心をもって挑まなければ勝てないこともあり、他人によって未来が動かされることもある。その中で占いの結果を成したければ、信じること。負けないこと」

 忘れないで。ひたりと、声にしずくが落ちます。

「未来は勝ち取るもの。自分の力を信じなさい」
「―――」

 それは、どういう意味……?

 急に不安が襲いました。占いの結果を信じろというのなら、なぜそんなことを言うのでしょうか。

『この先まだ障害は続く』

 ……だからでしょうか? 心弱ったら、それに負けてしまうと?

(強い心で)

 ――そう、これは託宣とは違う。神の大いなる力で確定された未来とは違う。

 強い心で臨まなければ、よき未来を逃してしまう――と。

< 281 / 485 >

この作品をシェア

pagetop