託宣が下りました。

 ラケシスがレジスタンスのメンバーと知り合いであること。それはこの一年ほどのことで、つまりわたくしが王都にいる間のことだったので、わたくしはまったく知りませんでした。
 父は以前からそれを把握していて、しきりに付き合いをやめるようにいさめていたのだそうです。けれど……ラケシスにも考えがあったに違いなく、そうである以上あの子が言うことを聞くわけがありません。

 昔から、あの子は自分の信じる道を脇目もふらず走る子なのです。

(でも! 王太子様の暗殺なんてするような子じゃない……!)

 レジスタンスが王家をなくそうとしているのは知っています。この国の長い歴史の中で、レジスタンスと呼ばれる存在がどんな風にしてそれをやり遂げようとしたのかも、それなりに知っています。

 でも、でも……!

(……信じなきゃ。ラケシスから本当のことを聞くまでは)

 父の手紙を何とか読み切り、わたくしは呼吸を落ち着けました。大丈夫。簡単に疑うのはもうやめることに決めたから。

 騎士を疑ったときがそうであったように……今回も、真実を知れば笑ってしまうようなことなのかもしれないのだから。

(……騎士は、まだ帰らないのかしら……)

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