託宣が下りました。

 騎士と話していると、よくも悪くも気がまぎれました。
 時間はあっという間に過ぎていき――

 そして、夜。

「今夜は自分の部屋で寝るか? それとも俺の部屋に来るか?」

 そう問われ、わたくしはようやくその重大なる問題に気づいたのです。

(こ、この家に泊まることになる……!)

 聖ミラエル孤児院では当然ながら別の部屋で眠りました。お互い子どもたちに添い寝しておりましたから、さすがの騎士も夜這いに来るようなことはなく……
 余計なことは考えなくていい、平穏無事な一夜を過ごしたのです。

 ですが――ここは騎士自身の家。

 わたくしは激しく動揺しました。修道院どころか王宮にさえ忍び込もうというこの人が、大人しくしてくれるとはとても思えません。

 でも、同じ部屋で眠るなんてそんな! ね――眠るだけで終わりそうにないではないですか!

「じ、自分の部屋で眠りますから。一人で眠りますから!」
「一人で大丈夫か? 添い寝してやるぞ」
「けけ、けっこうですっ」

 ぶんぶんと首を振って意思表示。騎士が「むう」と不満げにうなり、何かを言いたそうに首をかしげます。

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