託宣が下りました。

 ですが、彼が何かを言い出す前に、後ろに控えていたウォルダートさんがおごそかに言いました。

「アルテナ様はお疲れにございます。旦那様がご一緒では余計にお疲れになりましょう、わきまえなされませ」
「お前それが主人に対する言葉なのかウォルダート」
「どこか間違っておりましたでしょうか?」

 しれっとした顔のウォルダートさん。
 騎士は「むむう」といっそううなって腕を組みました。名残惜しそうにわたくしを見つめ、それからため息をつき。

「……仕方あるまい。ウォルダート、彼女をよく休ませてやってくれ」
「御意」

 そのときわたくしの胸にちくりとした痛みが走ったのは、なぜだったのか……。



 わたくしのために用意された部屋の窓は、改めて見てもたいそう大きなものです。ベッドに入ったとしても、容易に空が眺められるでしょう。

(ひょっとして……星が見えるようにしてくれた……?)

 修道女の習慣、星に祈ること。彼はそれを知っていてくれたのでしょうか。カイ様たちが彼に教えてくれた可能性だってあります。

(……なんて)

 そんなことまで考える自分が少しおかしくて、わずかに笑みがこぼれました。

 ベッドと窓の合間に椅子を置き、わたくしは静かに腰かけました。
 近くに燭台を置き、ほのかな灯りの中、胸の前で手を組み合わせてみます。

< 293 / 485 >

この作品をシェア

pagetop