託宣が下りました。
「な――なに……?」
思わず椅子から立ち上がり数歩退くと、その手は今度は拳の形を取りました。
ドンドン、と、窓を叩いて。
「………」
ふしぎなものです。手しか見えない状況なのは変わっていないのに、その瞬間にわたくしはすべてを察していました。慌てて窓を開け、
「騎士! 何をしているのですか!」
「うむ」
外の窓枠に――ほんのわずかにしか出っ張っていないその場所に――両手の指をかけて、騎士がこちらを見上げていました。
「ウォルダートたちに気づかれんように入る方法がこれしかなかったのでな」
「そ、そんな理由で」
「すまんが入れてくれ。今夜は寒い」
わたくしは急いで彼の手を取ろうとしました。ですが、彼には助けが必要がなかったようです。
ちょいちょいと指先のジェスチャーだけで指示されわたくしが場所をどくと、彼はひょいと身軽に窓枠を乗り越えてしまいました。バタンと窓を閉じ、がしがしと柔らかい髪をかきます。
「いやあ寒かった。巫女よ、ちゃんと着込んでいるか?」
「も、もちろんそれはウォルダートさんたちが気づかってくださったので」