託宣が下りました。

 明くる朝。


 妙な圧迫感に、軽くうなりながら目を覚ましたわたくしは、目の前に見えた顔に心臓が止まりそうなほどびっくりしたのです。

「き――!」

 目覚めたら目の前に人の顔。それがこれほど衝撃的なことだと初めて知りました。
 錯乱したわたくしは、とっさにその相手を突き飛ばして――、

「……んあ?」

 しかしその体格のよさで少し転がっただけで済んだ相手は、ねぼけまなこでわたくしを振り返りました。

 朝の光が差し込む中、乱れた柔らかそうな金髪が白く輝いています。ぼんやりした夕日の瞳は、どことなく焦点が合っていません。

「どうした……まだ誰も呼びにきてない。寝よう」

 のそのそと近づいてくると、わたくしを抱き寄せて再び寝入ろうとする、彼。

「き――きし――」

 心臓が爆発しそうでした。彼は寝間着で、しかも本当に夏用なのか薄着なのです。家人のいたずらにそのまま甘んじたのでしょうか。寒いと文句を言っていたくせに意味が分かりません。

 体が密着すると、彼の熱さをじかに感じました。
 以前ベッドに押し倒されたときの記憶がまざまざと蘇り、体がカッと熱くなりました。それで、つい――

「いやああああああ!」

 本日二度目、騎士を思い切り突き飛ばしてしまったのです。

 胸に二度も突きを入れられても平気な顔の騎士は、覚醒するとぼさぼさの髪をなでつけながら笑いました。

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