託宣が下りました。
騎士と同じベッドで目覚めるという衝撃の朝を迎えた日、早朝からマリアンヌさんがお屋敷にやってくると、
「また外に出るんでしょう? ほらほら、化粧の用意!」
と嬉々としてわたくしを鏡台の前に座らせました。
今日は騎士と約束した通り、ソラさんの様子を見に行くつもりでした。そのため念には念を入れて今日も変装することになっているのです。
「昨日雨が降っていた分、町がいっそう活気づいているわ。気をつけて外出しなさいね」
わたくしの髪に丁寧に櫛を入れながら、マリアンヌさんは優しい声でそう言います。
「まだ……お祭り騒ぎは収まりませんか?」
「そりゃあ収まらないわよ。託宣の名残もあるけど、今はほら、あなたの妹さんのことがね」
「……っ」
「……あなたますます顔を外に出せなくなってるわよ。でも大丈夫、私がきっちり隠してあげるから」
「はい……」
「こら、顔をうつむかせない!」
マリアンヌさんの両手が頭をがっちり挟み、上向けさせました。
「前を向きなさい、前を。別人になりきるときは、堂々としているのが一番よ」
別人になりきる――。
巧みな技術で印象の変わっていく顔。顔色さえ変えてくれる。