託宣が下りました。

「はい」

 わたくしは腹の底に力をこめました。そう、うつむいている場合じゃない。



 騎士の実家『羽根のない鳥』亭へは、騎士が馬車で送ってくれました。

「本当は一緒にいてやりたいんだが……すまんな、今日もまだ用事がある」

 迎えには来るから――と言いながらわたくしの頬を指で撫でる彼に、わたくしはにっこりと笑って答えました。

「お気になさらず。ソラさんと一緒なら、何時間でもあっという間ですから」
「……確かにそうかもしれんな。お、そうそう」

 騎士は急に思い出したようにぽんと手を打ち、

「今日は他の妹どももいるかもしれん。小うるさいと思うが、まあ仲良くしてやってくれ」
「―――」

 思わず固まってしまいました。その可能性は考えていなかった……!


 紹介だけしていくか、と騎士は立て付けの悪い戸を開けながら、大声で中に呼びかけました。

「誰かいるか!」

 騎士の大音声はこの古びた家を壊してしまいそうです。わたくしがこっそり耳をふさぎながら待っていると、

「――うるさい、兄貴」

 奥の戸から、のっそり出てくる人影がありました。

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