託宣が下りました。
「……前に見た似姿と顔が違うんだけど……」
「あ」
「そうだったな。巫女は今いろいろな事情で変装している! まあ素顔はまたの機会にな」
「変装……」
モラさんが真剣な顔になりました。ほとんど初めてわたくしを真正面から見て――遠いですが――、
「……素顔で会うときは正装するから。こ、恐かったわけじゃないんだよ! ほんとに!」
そこまで否定すると余計嘘っぽいですよ、モラさん。
後はモラに任せたと言って、騎士は出かけて行きました。
「ええと……ソラの部屋は二階で……」
モラさんは距離を取ったまま、ぎくしゃくとわたくしを案内しようとします。
「お世話をおかけします、モラさん」
わたくしはなるべく愛想よく努めました。少しでもモラさんの緊張がほぐれればよいのですが。
「……別にいいけど……あ、か、階段、気をつけて」
階段の前で待ってくれている彼女。近づいても逃げないのでふしぎに思っていると、おずおずと手を差し出してくれました。どうやら階段の段差が急なので、エスコートしてくれるようです。
顔を見ようとしても視線は逃げられてしまいますが、赤くなった頬が少し愛らしいです。目元はやっぱり騎士に似ているでしょうか――。