託宣が下りました。

 お兄ちゃん子なんだよソラは、とモラさんは悲しげな声で言いました。

 わたくしはソラさんのすやすやとした寝顔を見下ろしました。お兄さんを大好きなのは、わたくしもよく知っています。
 騎士が出立してしまうことを、悲しんでいる人はここにもいるのです。

「でも出立は延びたわ、未来のお姉さんの妹さんのおかげで。王宮は今それどころじゃないもの」
「あらミミ、出立式なしで旅立つことだってありうるのよ。魔王討伐も最重要事項」
「どうするのかしらね、うふふ」
「どうなるのかしらね、うふふ」

 ……この双子姉妹は、軽快な声で無視できないことを言うから油断なりません。

「出立式なしで旅立つ……」

 そうなのです、その可能性も十分あるのです。それを思うと、気分が重く沈み込んでいきます。
 ラケシスのことが解決しないまま騎士が旅立つことになったとしたら――わたくしはいったいどうしたらいいのか。

 モラさんがじっとわたくしを見て、

「結婚はどうするの。兄貴が出て行く前にするの? それとも帰ってきてから?」
「それは――その」
「モラ姉追い詰めちゃかわいそうよ。未来のお姉さんは今人生の岐路なのよ」
「そうよいじめちゃかわいそう。ここで選択を誤ると人生もどん底」

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