託宣が下りました。

 騎士のお父上……

 聞けば教えてくれるのでしょうか。以前会ったときのお父上を思い出すと、こちらから積極的に話しかけるのはためらわれるのですが。

 双子はそれ以上話す気がないようでした。あるいは、それ以上を知らないのかもしれません。

 「今日は暖かいわねリリ」「冬だってことを忘れてしまいそうねミミ」と他愛もない会話へ移行してしまい、わたくしのことなど忘れたかのようです。

(星の巫女が被験者……?)

 いったいどういうことなのでしょう。そんなことは、修道院では習った覚えがありませんが――

(被験者なんてそんな。星の巫女は、託宣をたまわるための――)

 少なくともわたくしの知る限り、何かの被検体になった巫女などいないはずです。

 ……でも。

(わたくしの知らない巫女はたくさんいる……。嘘の託宣をして国を追われた人のように)

 それではまさか、わたくしが知らないだけで『そんな』巫女はどこかにいるということなのでしょうか?

 体が芯まで冷えるようでした。わたくしは、思わず自分の腕をさすりました。

 この世にはわたくしの知らないことが多すぎる――。

(……知らないままでいいの?)

 それは強く深く、また痛みをともなう疑問でした。

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