託宣が下りました。

 修道女でいたいと願っていた。騎士との結婚をためらう理由は今でもその思い。

 けれど『修道女』がそもそも何者なのか、わたくしは知らなかったのです――。



 数々の生薬を扱う『冬の虫夏の草』店へたどりつくと、

「おお、我が愛しの娘たちじゃないか」
「お父さん!」
「お父様!」

 わたくしはぎょっと立ち止まりました。双子は店の中から出てきた人物に、羽をはばたかせるような動作で飛びつきました。

 見覚えのあるひょろりとした猫背の男性。――騎士のお父上です。

「どうしたミミリリ。今度は何の薬を作るつもりだね?」
「ソラちゃんのためのお薬よお父さん。眠り薬よね、リリ?」
「ソラちゃんのためだからリリが作るのよお父様。ミミが作ると永眠剤になっちゃう」
「ふむ……心意気はいいが、ソラのための薬はカイが作ると宣言しているからなあ」
「カイには任せておけないわお父さん。だってソラの性別が変わっちゃったら困るもの」
「リリはむしろカイに任せてみたいわお父様。男の子になったソラを見たい!」

(カイ様、痛恨の失敗をしてしまったのね……)

 改めて思いますが、よりによって騎士の性別を変えてしまったのですから、カイ様のショックはいかほどだったのでしょう。ましてそのことでいまだに双子にからかわれているのだとしたら。

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