託宣が下りました。
「だってエヴァレットに話してもらちが開かないんですもの。お前に直接頼んだほうが何かと早くてよ」
「ほう、私などにどんな御用で?」
「国民の不安を解消する方法をもうひとつ提案なさい。これだけじゃ足りないわ」
騎士のお父上――初めて知ったのですが、アレクサンドル様とおっしゃるようです――は気むずかしげに眉を寄せました。
「無茶をおっしゃいますな。私は一介の魔術師ですぞ」
「うちの馬鹿どもよりずっと有能よ。ああ、どうしてお前のような才能をうちは手放してしまったのかしら!」
〝うち〟には〝王宮〟の文字が当てられるのでしょうか。何だか、話の規模が違う気がします。
姫は恨めしげに馬上からお父上――アレクサンドル様を見下ろすと、
「何よりお前が王宮で権勢をふるってさえいれば、私とヴァイスの結婚を反対する者もいなかったでしょうに」
「はっは。それは何よりヴァイス自身が嫌がっておりますぞ、姫」
「お黙りなさい。お母様さえお許しくだされば問答無用だったものを」
爪を噛む仕草がやはり子どものよう。たしか年齢はもう二十歳に届くころのはずなのですが。
「姫様は相変わらずね、リリ」
「姫様はきっと永遠にこのままなのよ、ミミ」