託宣が下りました。

 父親の陰に隠れて双子がこそこそと話しています。どうやら彼女たちは姫君と遭遇するのが初めてではないようです。

 わたくしは――
 どうしていいか分からず、ただお父上の隣にたたずんでいました。

 たぶん、姫はわたくしの存在さえ目に入れていません。むしろそれでよいのです。よいのですが――

 少しだけ悔しい気がするのは、なぜでしょう?

「とにかくアレクサンドル、早く案を出しなさい。国民の不安をごまかすのにも限界があってよ」
「姫が国民のことを考えなさるとは。もしや『花輪』を提案なされたのは姫でしょうか?」
「そうよ。貧しい者でも花なら手に入るでしょう、そこらじゅうにあるのだから」
「なるほど。このアレクサンドル、感動いたしましたぞ」

 姫様は、ふん、と傲然とあごをそらしました。

「国民のことなんてどうでもいいわ。ただ、そうしなくてはヴァイスが私を認めないと言うから」
「……不肖の息子が、何か?」
「突然王宮に怒鳴り込んできたかと思ったら『自分の役割さえ果たせぬ女に興味はない』と! まったく、何が『役割』よ! そんなものに縛られて生きることに何の楽しみがあるというの!」

 ぎりぎりと歯ぎしりがこちらまで聞こえそうなほどです。顔立ちは美しい姫ですが、気性の荒さが眉に出ています。

 対するアレクサンドル様は、やっぱり平然と。

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