託宣が下りました。
「そうおっしゃりながら、『王女の役割』についてお考えになったのですな。ご立派ですぞ」
「……ヴァイスが、そうしないと口を利かないと言うから」
ぽつりとした声が馬上から落ちました。
それは、一人の心細そうな女の子の声でした。
「―――」
わたくしは胸がしぼられるように痛むのを感じました。今の一言だけで分かる。この姫は、騎士を本気で好いている――
アレクサンドル様がちらりとわたくしの様子をうかがったのが分かりました。そして、
「……それほど不肖の息子を想ってくださるとは感激ですな。凱旋式でのアレはそれほどに勇猛でありましたか」
「それはもう!」
一瞬にして姫君の顔がとろけそうなものに変わりました。頬が薔薇色に染まり、うっとりと雲の上を見つめて。
「あれほど強い男を私は見たことがないわ。やはり男は強くなくては。お兄様のように軟弱ではなく!」
「お兄上は心根がお優しいのですよ。それも大切なことですぞ――ところでシュヴァルツ殿下は今どのように?」
シュヴァルツ。この国の王太子殿下のお名前です。
兄上の名前が出たとたん、エリシャヴェーラ様の眉がきっと吊り上がりました。
「お兄様なら気鬱で臥せっていてよ、本当に軟弱なこと! 暗殺者が一人出たくらいでなんだと言うの――」
(暗殺者)