託宣が下りました。
わたくしの胸を、ひやりとしたナイフが突き刺さります。ああラケシス。ラケシスは無事なの。
アレクサンドル様が「ふむ」とあごに手をかけ、
「気鬱……ですか。まだ、ご自分の部屋から出ておられない」
「誰が呼んでも出てきやしないわ。脆弱なお兄様のことですもの、このまま食事も取らずにいけなくなってしまうのではないかしらね?」
第一王女がとんでもないことを口にします。「いけませんな、姫」とアレクサンドル様がたしなめました。
「何がいけないことですか。お兄様がいなくなれば必然的に私の夫が次の王となるわ。つまりはヴァイスのためよ」
「息子は王などやりたがらないと思いますが」
「やらせるわ。できないはずがないもの、そもそも勇者一行を鼓舞したのはヴァイスでしょう――同じことを国民に対してできないはずがない」
ふふ、と姫はしなやかな指先で唇に触れました。
「楽しみね、勇猛で泰然自若の王――隣国に攻め入られても隙などないわ」
「………」
本当に子どものような姫様でした。自分が信じたことを世界の基盤にして、そのまま生きることが許されている。
それが、王女というもの。
いえ――本当はそれではいけない。王族の生き方はそのまま国民の生き死にに関わる。
――だからこそ、王族の『役割』が重要なのに。
だからこそ、王となるものの資質が――大切なのに。