託宣が下りました。
それでも――姫は王女。すれ違った糸を無理やり結ぶことのできる人。
対してわたくしには何もない。彼の心ひとつにすがるしかない。一度手放したら、おそらく二度と手に入らない――そんな小市民。
同じ人を愛しても、そこには決定的な差がある。馬上から見下ろす姫を、見上げるしかない自分とは。
「言い直します、姫様」
ふしぎと、心が落ち着いていました。
凪いでいく感情。その中央に、ひとつだけ譲れない想いがある。
「『役割』のお話は口実です。わたくしは姫様に負けたくないのです。――姫様、わたくしも、騎士を愛しています」