託宣が下りました。

 突然の展開にたじろいでいた姫様は、しかし側近の視線を受けてすぐに息を吹き返しました。

「そうよ! いいことを思いついたわ――アルテナ! アルテナ・リリーフォンス!」

 遊ぶようにわたくしの名を呼んだ姫は、馬上で背をそらしました。

「ラケシス・リリーフォンスはあなたの妹だそうね? ふふ、暗殺者を妹に持つだなんて立派な巫女だこと!」

 わたくしは唇を噛みました。アルベルト老が眉をひそめて、

「姫。人を蔑むような言動は慎みなされ」
「蔑む? 事実を言ったまでよ。ふふ――ねえアルテナ」

 まるで親しい友人のように呼びかけながら、姫はあくまで馬上から。
 決して、対等にはならぬ位置から。

「ヴァイスを諦めなさい。そうしたら、妹を無事に返してあげてもいいわ」

 姫は。
 無邪気な子どもの顔で、たしかにそう言ったのです――。



「あらあら。驚きの展開よ、リリ」
「まあまあ。楽しすぎる展開ね、ミミ」

 双子が手を取り合って喜んでいます。そんな彼女たちの通常営業が、何だかありがたく思えるほど……

 わたくしは凍りついていました。目に見えるものすべてが動きを止めて、固まってしまったかのよう。時間の動きが分かりません。

「姫。何と言うことを……」

 アルベルト老が額に手を当ててため息をつきました。

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