託宣が下りました。
突然の展開にたじろいでいた姫様は、しかし側近の視線を受けてすぐに息を吹き返しました。
「そうよ! いいことを思いついたわ――アルテナ! アルテナ・リリーフォンス!」
遊ぶようにわたくしの名を呼んだ姫は、馬上で背をそらしました。
「ラケシス・リリーフォンスはあなたの妹だそうね? ふふ、暗殺者を妹に持つだなんて立派な巫女だこと!」
わたくしは唇を噛みました。アルベルト老が眉をひそめて、
「姫。人を蔑むような言動は慎みなされ」
「蔑む? 事実を言ったまでよ。ふふ――ねえアルテナ」
まるで親しい友人のように呼びかけながら、姫はあくまで馬上から。
決して、対等にはならぬ位置から。
「ヴァイスを諦めなさい。そうしたら、妹を無事に返してあげてもいいわ」
姫は。
無邪気な子どもの顔で、たしかにそう言ったのです――。
*
「あらあら。驚きの展開よ、リリ」
「まあまあ。楽しすぎる展開ね、ミミ」
双子が手を取り合って喜んでいます。そんな彼女たちの通常営業が、何だかありがたく思えるほど……
わたくしは凍りついていました。目に見えるものすべてが動きを止めて、固まってしまったかのよう。時間の動きが分かりません。
「姫。何と言うことを……」
アルベルト老が額に手を当ててため息をつきました。