託宣が下りました。
「あの暗殺者、さっさと殺してしまいなさいな。今はディアンが拘束していたしら? ディアンに命じなさい」
声にならない悲鳴が、わたくしの喉からほとばしりました。
アルベルト老の顔に疲労がにじみました。
「姫。しかしまだ調べることが――」
「調べたところで結果は同じよ、そうでしょう? 城に忍び入った時点であの女の処遇は決まっているのよ」
やめて。やめて――。
取引を拒絶したのは自分だと言うのに、狼狽するしかなかった。ああやっぱり、ただの考えなしだった? 姫に蔑まれても当然の。
話をうまく繋ぐことができたなら――もっといい道があったかもしれないのに。
「――やめて!」
耳をふさいで叫びました。
嘲弄の視線が、わたくしにまとわりついていました。
「いい気味ね。身の程をわきまえなさい、平民」
ふふと艶然とした微笑みを残して、姫君は手綱を引きました。
「さてと。アレクサンドル、すっかり忘れるところだったわ、民の不安を解消する方法を教えなさい」
その瞬間にはもう、わたくしは姫君の世界から消えてしまった。抗おうにも、もはや声が届かない――。
代わりに姫の注目を浴びた騎士のお父上は、ちらりとわたくしを横目で見て。
「残念ながら、姫。今回ばかりはあなたの思うようにはなりませんでしょう」