託宣が下りました。
「もちろん真っ先に。というかエヴァレット卿と一緒だったんだが、どこへ行ったんだあの男は」
初めて不在に気づいたかのように、騎士は辺りを見渡しました。
するとちょうど広場の入り口から、ひいこらとした声が上がりました。
「ヴァイス! この、急に馬で駆けおって――」
「卿も馬ではないか」
「お主ほど早く町を抜けられるわけがあるか!」
その言葉の通り、どこかのっそりと馬を操りこちらへやってくる人物が一人。
「エヴァレット卿……?」
その顔はわたくしにも見覚えがありました。修道院監査室の長ジャン・エヴァレット卿――
ころころと丸く太った小柄な男性です。彼をのせて走る馬はさぞかし大変でしょうが、それにしても。
「エヴァレット! これはどういうこと!」
見知った臣下の姿に、姫が威勢を取り戻しました。
ひっ、とエヴァレット卿は馬の上でのけぞりました。
「ひ、姫様。本当にこんなところにおられたのですか」
「ひっとはなに、ひっとは。お前はこの国の王女を見て悲鳴を上げるのですか」
「いやまさか本当にいらっしゃるとは。噂になっているのは似た面差しの別人かと思っておりまして――はあ、いえ」
アルベルト老がこっそりため息をつきました。
「影武者であったならよかったのだが……」
「何か言ったかしらアルベルト?」
「滅相も」