託宣が下りました。
どことなくおどけた調子があります。エヴァレット卿の登場で場が弛緩したことを、喜んでいるようにも見えました。
エヴァレット卿はのそのそと馬からおりると、姫様の前で膝をつきました。まるで先ほどの礼を失した行いを埋め合わせるかのようです。
騎士のお父上がその姿をとっくりと見つめ、
「……エヴァレット卿。あなたが息子と一緒にいるということは……シュヴァルツ様は部屋からお出になりましたな?」
「ぐ、アレクサンドル、なぜ貴様がここに」
「話をそらせると思ったら大間違いですぞ、卿」
「………」
エヴァレット卿がうなだれるのを見て、たぶん誰もが不審に思ったことでしょう。騎士と、騎士のお父上を除いて――
「……ひ、姫様」
「何なのエヴァレット」
いっそう頭を下げる卿に、姫様は不機嫌な声で応えます。
卿の額に脂汗が浮いているのが見えました。いったい何をそんなに緊張しているのでしょう?
「お、王宮の一大事であります。かような場所でお話することではないかと。はあ」
「構わないわ。回りくどいのは嫌いよ、今おっしゃい」
「―――」
わたくしが言うのもなんですが、本当によいのでしょうか? エヴァレット卿の様子をみるに、尋常ではない事態なのは間違いないでしょうに。
けれど、姫の命は絶対。卿はもぐもぐと歯切れ悪く語り始めました。