託宣が下りました。

 さすがに口を出さずにはいられませんでした。だってラケシス、ねえ、ラケシス?
 姉さんちょっと頭がおかしくなりそうよ。

「そ、それは何かの間違いではありませんか? たとえばお優しい王太子殿下が、ラケシスを命だけでもかばうためにつかれた嘘とか……」
「それは真っ先に王妃様がご指摘なされましたなあ。しかしシュヴァルツ様はきっぱり否定なさいまして、はあ」

 珍しいことでございます――と、顔を上げたエヴァレット卿は、懐から出したハンカチで額を拭いました。

「殿下があれほどはっきりと何かを陛下の前でおっしゃることは。よしんば暗殺者ではなかったにしても、下賎の者との結婚などとんでもないと、陛下も王妃様も反対なされたのですが……ええ、はい」
「……本当に、本気で、ラケシスと恋仲だと……?」
「少なくとも本人は大真面目にそう言っていたぞ」

 と、そう答えたのは騎士でした。「俺も直接本人に聞いた。それもシュヴァルツ殿下の一方的な片思いではなく、ちゃんと情の通じた相手だと言い切った。それで俺が牢のラケシス殿にも確認するよう、卿に頼んだんだが」

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