託宣が下りました。
「……はあ、ええ。否定しておりましたなあ、ラケシス・リリーフォンスは。あれほど下手くそな嘘はまずもって王宮では見つかりません。あまり王宮に向いた人物ではなかろうと思われますが」
「卿の感想などどうでもいい。どうだ、巫女。とりあえずそれが真相らしいぞ?」
「ラ――ラケシスが――」
では、それでは。
ラケシスが王宮に侵入したのは、王太子殿下と逢い引きするためだったと――そういうのでしょうか?
『内部に詳しい人間がいなくては王宮には侵入できん』
騎士はたしかにそう言っていました。
王太子殿下ご自身が引き入れたというのなら、その条件は叶います。
「……ま、待ちなさい。ラケシス・リリーフォンスは帯剣していたはずよ。逢い引きならばおかしいじゃない――」
姫様はわなないていました。今聞いた言葉を、必死で否定するかのように。
「はあ……何でも殿下に剣の修業をつけていたのだそうで。そもそもはそういった繋がりで親交を深められたそうですな。以前、サンミリオンに殿下がおいでになったときから」
――サンミリオンに、王太子殿下とエリシャヴェーラ王女が来た、と。
ラケシスはたしかにそう言っていました。
では、あのときにはもう――
「まあ、姉としては信じられんだろうがねアルテナさん」
アレクサンドル様ののんびりとした声は、まるでわたくしの背中を叩くかのようでした。