託宣が下りました。
かわいさあまって憎さ百倍。姫様はとても王女と思えぬ罵詈雑言を騎士に向かって投げつけました。
しかしこういうときの騎士の打たれ強さは並々ならぬもの。というより、受けもせずすべて流してしまっているようです。
――彼がこういう態度のときは何を言っても無駄だと、姫様は経験で知っていたに違いありません。
「覚えていなさい!」
結局どこかで聞いたような捨て台詞を吐いて、姫様は兵士たちを引き連れ帰っていきました。
最後の最後、アルベルト老がこちらを向いて頭を下げたことが印象的でした。彼はきっと、姫のことが本心から大切なのだと思います。その心中おして知るべしです。
わたくしはほうとため息をつきました。何だか、いろいろなことがありすぎて疲れた……
「どうした。大丈夫か?」
すかさず騎士の手がわたくしに差し出されました。
わたくしは少しためらってから、その手を両手で握り返しました。体ごと彼に寄りかかるようにして。
「……ありがとうございます。助けに来てくれて」
彼が来てくれなかったら、わたくしは姫のラケシスへの言葉に絶望して、どうなっていたか分かりません。
「お父様も、ありがとうございました」