託宣が下りました。
「本当は軟禁しているほうがおかしいんですよ。本当に王妃様と王太子様には困ったものです」
迎えに来てくれたカイ様が、早々にぼやきました。
わたくしは首をかしげました。王妃様が問題なのは薄々分かっていましたが――
「王太子様も、ですか?」
「殿下はラケシス様にベタ惚れなんです。一日も離れていたくないとかで、今の状況を喜んでさえいます」
「………」
聞けば聞くほど信じられない。王子とラケシスが恋仲だなんて。
王子のほうはもう、耳にタコができそうなほど聞きましたが、ラケシスのほうはどう思っているのでしょう?
(今日こそ問い詰めなければ)
わたくしは決意を新たにし、カイ様の用意してくれた馬車に乗りこみました。
*
豪華な四頭立ての馬車はゆっくりと前に進んでゆきます。
「そう言えばおねえさん。最近ヨーハンさんとどこかで会いませんでしたか?」
道中、ふとカイ様がそんなことを仰いました。
「ヨーハン様ですか……? いえ、会っていません」
かつてわたくしに魔物の講義をしてくれたヨーハン様。思えばお名前を聞くのも久しぶりです。お元気でいるのでしょうか。
カイ様は腕を組んで首をかしげ、