託宣が下りました。

「実は王都に戻ってきているらしいんですよね、見かけた人がいたみたいで……でも、僕のところにも来ないし、ひょっとしたらおねえさんのところに行ってないかなと思ったんですが」
「わたくしのところにですか?」
「はい。だって以前の家庭教師のことだって、中途半端なままでしょう?」

 そう言えばそうでした。巨大スライムに襲われたあと、ヨーハン様はまるで敗北を引きずるようにわたくしに詫びて、そのまま姿を消してしまったのです。
 カイ様は腕組みをほどき、ため息をつきました。

「魔王討伐に関して、ヨーハンさんの知恵がほしいんです。どうにかして連絡取れないかなあ……」
「張り紙は出されたのですか?」
「出しましたよ。ギルドにも情報提供を呼びかけました。でも全然」

 おかしいなあとしきりに首をひねるカイ様。
 聞いているうちに、わたくしも得体の知れない不安を感じました。

 どこか気の弱いところのあるヨーハン様。おかしなことに巻き込まれていないとよいのですが……。

 馬車の窓から、やがて荘厳な王城が見えてきました。
 この国は石の国です。よそではなかなか見られないような珍しく美しい石が、王城には山ほどあしらわれています。

 太陽光に照らされきらきら輝くさまは、まさに王の居城。

 わたくしにとっては夢のような場所。別世界だったはずの場所に、今から行こうとしている――



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