託宣が下りました。
ラケシスは牢屋から軟禁部屋へと移されていました。
今回はその部屋へ、直接入れてくれるそうです。もちろん、宮廷魔術師のカイ様が同行しているからこその厚遇です。
軟禁部屋と行ってもそこはさすがにお城。ドアの装飾の見事さだけでわたくしは圧倒されました。「元は姫様の一人がお小さいころ使っていらした部屋なんです」とカイ様が解説してくれます。扉でこうなら中はどれほどのものなのでしょう。
お付きの兵士が扉を開けました。
中で、窓の外を眺めていた人物が、はっと振り向き顔を輝かせました。
「姉さん!」
「ラケシス」
わたくしたちは互いに駆け寄り、抱き合いました。
わたくしよりだいぶ背の高い妹。討伐者だけあって、たくましい体。それが今は少し痩せているようにも思えます。
兵士はカイ様と一言二言話したあと、扉を閉めました。たぶん扉の外で見張りのように立っているつもりなのでしょう。
お城の人がいない状態でラケシスと話をさせてもらえるなんて、ずいぶん王宮も譲歩したものです。どうやらカイ様の影響力はそれほどのもののよう。
――騎士に聞いたところ、「それも魔王復活が近いからさ」と笑って言われてしまいましたが。
「姉さん……姉さん、ごめん」