託宣が下りました。

「何を謝っているの? ラケシス」
「だって、驚いただろう?」

 それはもう。天地がひっくり返るほどの衝撃だったけれど。
 ラケシスは罰が悪そうに目をそらしました。

「……私だって、こんなことになるなんて思ってなかったんだ」
「ラケシス」

 わたくしはラケシスの両腕に手をかけながら、優しく尋ねました。

「本当のことを言ってね。……王太子様と恋仲というのは、事実?」

 ラケシスの顔がぼっと火を噴いたように赤くなりました。
 この子はこんな顔をする子だったのでしょうか。姉のわたくしでさえ初めて見る顔です。

「――ほ、本当……だよ」

 目が泳いでいます。ごまかしの目ではなく、わたくしの顔を見るのが恥ずかしいようです。

 ああ神様! わたくしの妹は、ひょっとしてこれが初恋なのでしょうか?
 だとしたら、何てとんでもない相手に恋をしてしまったのでしょう!

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