託宣が下りました。
わたくしは妹への愛しさでいっぱいになりました。
王太子様への不安はまだまだあります。軟弱な性質自体が直ったわけではないようですから。
けれど――ラケシスにこんな顔をさせてくれたなら、もうそれだけで許せるような気がしてしまうのです。
ただ、問題は山積みで――。
「王太子様と結婚するということは、未来の王妃になるってことなのよ? その上、陛下たちは反対なさっているのでしょう」
「……うん」
しょんぼりと肩を落とすラケシス。さしもの彼女も、この状況をどうしたらいいのか分からないようです。
部屋がしんと静まりかえりました。
窓から差し込む冬の陽射しは柔らかく、人の心をほぐすようです。
「……私は」
ぽつ、ぽつ、とずっと言えずにいたのであろう言の葉を、ラケシスは唇からこぼしました。
「結婚なんて――願っていなかった。だって、できるはずがないと思っていたんだ。殿下はどうせ王妃様の言うことに逆らえずに決められた姫か誰かと結婚すると思っていたし……私は、剣の稽古を口実に少しだけ一緒にいられれば、それでよかった」
「でも殿下はあなたとの結婚を望んだのよ、ラケシス。殿下についていく気はある?」
「―――」