託宣が下りました。
それはどれほど大変な旅だったのでしょう。思いをはせれば、気が遠くなるような話です。
そう言えば昔……、まだ魔王討伐が成されていなかったころ。
わたくしがただの町長の娘であった時分、勇者様のお噂が耳に入るたび、思ったものでした。
――何もかも彼らに任せてしまっているままで、いいのだろうか、と。
正しく言えば、魔王の首を狙う討伐者は他にもいたのです。ちゃんと敵の大将を狙って旅をしているパーティは、アレス様たちばかりではありませんでした。
その方たちを含めても……わたくしは自分の在り方に不安を感じたものでした。誰かに危険なことを任せて、自分はのうのうとしていていいの?
もちろん、魔物と戦う力などわたくしにはありません。わたくしなど、仮に鍛えたところでたかが知れていたでしょう。
人には向き不向きがあり、役目の違いがある。そう思ったのはそのころ。
『すべて、自分の心ひとつ』
アンナ様のお言葉を、そのとき思い出したのです。
そう、自分の心がすべてを決める。罪悪感を抱えながらただ漫然と日々を過ごすくらいならば、自ら自分のできることを見つけにいけばいい。
そうして、わたくしは修道女を志しました。人のために生き、人のために祈る存在に。
「アルテナ?」
呼ばれて我に返りました。