託宣が下りました。

 ただでさえ不健康そうな顔つきをしたヒューイ様は、いったい何晩眠っていないのか、目の下は真っ黒、顔色は真っ白。それなのに目だけはらんらんと輝いていて、「俺の邪魔をするな邪魔をするやつはコロス」とその目つきが雄弁に物語っていました。

「ヒューイ・グロース様……有名な仕立て屋さんですね。気が向かなければ決して仕事をしないそうですから、あの方に作っていただけるなんて、幸運と思わなくてはなりませんよ、アルテナ」
「そ、そんな方だったのですか……」

 わたくしたちの婚儀の衣装を作るのを嫌がっていたのは騎士を嫌ってのことだと思っていたのですが、そうでもないようです。

 アンナ様はくすくす笑い、それからわたくしの手を取りました。

「あなたは周りから祝福されて結婚するのです。よきことと思わなければね」
「……はい」


 禊ぎの間から修道院に戻ると、なぜか場が騒然となっていました。

「いったいどうしたの」

 アンナ様が率先して、近場の修道女を捕まえます。

「あ、アンナ様。実はシェーラが――」
「シェーラが?」

 久しぶりの親友の名にわたくしは息を呑みました。

 そして。事態は最悪の方向へと転がり出したのです――



「シェーラ殿にも魔物が取り憑いただと……!?」
 騎士が呆然とわたくしの言葉を繰り返しました。「馬鹿な、なぜシェーラ殿に!」
「……分からないのです。シェーラは眠り込んでしまっていて……」

< 392 / 485 >

この作品をシェア

pagetop