託宣が下りました。
 男性は苦手なわたくしですが、この二人は大丈夫なようです。見た目がとても優しげで女性的なアレス様と、年下で人見知りなカイ様。なんでしょう、この二人が一緒だとむしろほっとするくらいです。

「ですが……ちょっと疑問ですね」
 アレス様はあごに手を触れました。「ブルックリン伯爵はたしかに強引な人です。ですがここまでのことをする人とは……」
「……」

 そのとき、わたくしとアレス様の間にいたカイ様がぴくりと震えました。
 すかさずアレス様が、カイ様に顔を向けます。

「どうした? 何か言いたいことがあるか?」
「……あ、あの、たぶん……ですけど」
 カイ様は自信なさげにか細い声でつぶやきました。「……貴族の親が強引な手に出るときっていうのは、相場が決まっていて」
「……まさか」

 アレス様が息を呑み、わたくしは口を手で覆いました。まさか……
 カイ様はうなずきました。

「はい、そうです。……子どもを、結婚させたいときです。たしか……ブルックリン家は近しい貴族と、縁談を進めていたはずです」
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