託宣が下りました。

 わたくしは一晩だけ休ませていただきました。

 本当は、完全回復にはもっとたくさんの時間が必要のようなのですが、騎士やシェーラたちのことを思うと休んではいられませんでした。

 だってヨーハン様は、シェーラたちのことさえ救えると言ったのです。

 話を聞いたクラリス様は、「後でどうなっても知らないから……」と言いながら、「直接の治癒」をかけてくださいました。
 おかげで今は、絶好調と言っても過言ではありません。きっと時間が経ったあとにひどい思いをするのでしょうが……



 ヴェルジュ山は昔から聖なる山とされてきました。
 というのも、星の神がご降臨なさったことがある――とされています。

 修道女教育を受けているわたくしが口にしていいことではありませんが、正直なところ、その話の真偽は定かではありません。ですが現実として、ヴェルジュ山に湧く清水には、魔物に対抗できる聖なる力があります

 わたくしは急ぎで動きやすい旅装を用意していただきました。山に入るものとしてはやや軽装でしたが、今回は山に『登る』のではありません。そしてそうである以上、最優先すべきは山の洞窟にはびこる魔物たちのほうです。

 どちらにせよ危険が伴う入山でした。
 その上、ヨーハン様は「夜に」と言って聞きませんでした。そのことでしばらくアレス様とカイ様に猛反対を受けておりましたが、わたくしが一言「行きます」と言ったことで、お二人は渋々許してくださいました。

 たとえ一時は魔物に心で負けてしまったからと人であろうとも。
 その魔物が離れた今、わたくしに様々な知識を与えてくださった学者であるヨーハンさまを、わたくしは信じていたかったのです。

 やがて待ち望んだ夜になり――

 満天の星を見て、ヨーハン様は満足そうに「よし」とうなずきました。

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