託宣が下りました。

 そう言えばカイ様は動物が苦手なのです。戦いのときはやけになって却って強くなるのだと聞いていましたが、なぜここにきて突然恐がっているのでしょう?

「ね、ネズミ……っ」

 ……ネズミ?
 ネズミ――と言えば、人形遣いのソラさんが得意とする動物ですが……

「うわああああ!」

 カイ様が一段と大きな魔法陣を展開しました。今まで洞窟を崩さないよう、威力をおさえていたはずなのに。

「危ない!」

 ヨーハン様がわたくしをかばって地面に伏せます。

 直後、爆発が起こりました。洞窟がぐらぐらと揺れて、天井から鍾乳石が次々落ちてきます。
 大半の大ネズミはそれで駆除できたようです。ですが――
 爆発を逃れて、カイ様に突進するものが一匹。

「ひいいい! いやだあああ!」

 カイ様は悲鳴を上げて逃げ惑いました。この狭い洞窟の中では逃げるのに限界があります。ヨーハン様が起き上がるより先に、ネズミはカイ様に襲いかかっていました。

 カイ様は腰を抜かしてしまいました。そこをすかさずがぶりと、彼の腕を一噛み。

「うわあああああ!」

 カイ様の声が洞窟を壊してしまいそうです。いったいどうしたことでしょう。

 ヨーハン様が慌てて走り寄り、道具袋から出した小瓶の中身をカイ様にかぶりつくネズミに振りかけました。
 聖水です。ネズミがキシャーと異常な音を立てながら煙を立てて消えていきます。

< 463 / 485 >

この作品をシェア

pagetop