託宣が下りました。

「カイ! 大丈夫ですか」

 立ち上がれないカイ様に、ヨーハン様が慌てて応急処置をほどこします。
 わたくしもようやく彼らの元へと近づくことができました。

「ご、ごめんなさい……」

 カイ様はしょげかえっていました。「ネズミは……ネズミだけは……」

「動物の中でも一番嫌いなのですか?」

 それは初耳でした。動物ならば一律で嫌いなのだと思っていたのですが。

「……ソラちゃんに会うといつもネズミをけしかけられる。初めて会ったころからずっとそれを繰り返してきたんです……」
「………」

 やっぱり原因はソラさんですか。騎士の実家に行くことがあれば、一度叱っておいたほうがよさそうです。

「大丈夫ですよカイ様。ここにはヨーハン様もいます。一人で戦わなくていいのです」
「聖水もしっかり確保してありますよー」

 ヨーハン様が道具袋をふりふり陽気に言います。
 カイ様は噛まれた腕をさすりながら、うなだれました。

「はい……任せてと言ったのにすみません」

 責任感の強い彼らしい態度でした。
 わたくしは何だかかわいく思えて、カイ様を抱きしめ背中を撫でました。

「アアアアルテナ様っ!?」
「落ち着いてくださいね、大丈夫ですからね」

< 464 / 485 >

この作品をシェア

pagetop