託宣が下りました。
孤児院の子どもが泣いたときと同じ処置をしただけなのですが――
カイ様はなぜか、逆に錯乱してしまったようです。「うわああ」と声を上げたきり、口をぽかんと開けて固まってしまいました。
「……アルテナ様」
「何でしょうヨーハン様」
「あなたは罪な人ですねえ……」
いったいどういう意味ですか。不本意です。
けれどよかれと思ったことなのに、カイ様が嫌がっているのはたしかなようです。わたくしは名残惜しく彼の体を放したのでした。
奥に行くにつれて、魔物の数が減っていきました。
そして、ようやく禊ぎの間や聖水に使う水が湧き出る場所に出ました。
ヨーハン様はそこで使った分の聖水を補充しました。そして、さっさと通り過ぎようとしました。
「もっと奥です~。一番奥です」
これ以上奥……?
一抹の不安がわたくしの脳裏によぎります。
ここまでもかなりの距離がありました。
クラリス様の術で一時的ながら全快にしてもらったとは言え、目的地はわたくしの体力が続く場所にあるのでしょうか。
聖なる湧き水の地を境に、魔物は出なくなりました。
「ヨーハンさん。結局おねえさんに何をさせたいんですか?」
最後尾を守るカイ様が、不審げに先頭のヨーハン様に尋ねます。
ヨーハン様は振り向かず、松明の火だけが少し揺れました。