託宣が下りました。

 幾条もの光が湖面に差し、その合間を縫って空の星の影がゆらゆら揺らめいています。
 わたくしは迷わず泉の中央へと進みました。

 冷たい水でした。けれど、ふしぎと寒さは感じません。まるで春に水浴びに入る川のようです。冷たいのに、優しい。

 本当にわたくしの祈りで神は降りてくださるのでしょうか……
 信じられませんでした。でも、信じなくてはいけません。

『星の巫女は神を疑ってはならない』

 それは修道女として真っ先に学ぶ事柄です。

 それに――何よりも。
 今このときも、苦しんでいる人たちのことを思えば。


 胸の前で手を組み合わせ、目を閉じました。

 瞼の裏に映るのは星ではなく、助けたい人々の姿でした。

 ヴァイス様、シェーラ、エリシャヴェーラ姫、町の人々……

 彼らを守る力を分けてくださるのなら、わたくしは何だってする。

 命を削って行わなければならないのなら、それでも構わない。

 星の神よ、だから、どうか。
 そのお力をお分けください――

 一心に、一心に。
 彼らを助けたいと。彼らに生を、と。それだけを。

 いったいどれほどの間、禊ぎの水に浸かっていたのか……
 ふいに、世界が明るくなったのを感じました。朝になったのでしょうか――?
< 477 / 485 >

この作品をシェア

pagetop