託宣が下りました。
「そして今、わたくしの目の前にその苦しむ人々を救えるかもしれない方法がある。ならば全力ですがりたい。それが間違いだとおっしゃいますか?」
『間違いではないな。ただ、幼稚だ』
「それならばわたくしは幼稚で構わないのです」
星屑がまたたきました。相手が忍び笑う気配。
『そなたは愚かで幼稚だよ。自分を犠牲にして人を救っても、救われた者は案外簡単にそれを忘れるものだ。感謝など、ほんの一瞬のこと』
「感謝されるために成したいわけではございません」
たしかに――
孤児院や救貧院でわたくしに向けられる敬愛の目は、心地よい。
けれど時にはそれがほんのひとときのことであることも知っている。
――同時に、知っている。感謝を長きに渡り忘れない人々もいることを。
「我が神よ、人の心はたくさんの紋を描きます。たくさんの色を放ちます。この世にひとつたりとも同じ色形の石がないのと同じように……。大勢の人間を見ている者こそ、きっとそのことに気づきます。そうではありませんか?」
あっはっは、と今度はとても人間らしい笑い声が聞こえました。
『我よりはるかに短い生き様の人間にそんなことを言われるとはな! これは愉快』
手が、だんだんと震え始めていました。
神は――力をお貸しくださらないかもしれない。そう思えてきたのです。
そのお考えを真っ向から否定する、そんな巫女には、その資格がないのかもしれない。
(……たとえそうであっても)
わたくしが簡単に諦める理由には、ならない。