託宣が下りました。
レイリアさんがぼそっと「強敵出現」とつぶやき、「馬鹿! 面白くなっちゃうでしょ!」とシェーラに叱られています。シェーラ、あなたすでに楽しんでいるでしょう。
騎士はずっと無言でした。無言でラケシスを見つめ返していました。
背の高い、しかもハンターである二人が相対すると、それだけで空気が違います。他の者では近づけないぴりぴりとした緊張感――。
風が渡り、彼らの足下を乱していきます。
また砂埃が舞いました。わたくしは、たえきれず小さくくしゃみをしました。
「くしゅっ」
……。
「……アルテナ様、かわいい」
「レイリア!?」
わたくしは赤面しました。肩をすぼめておそるおそる騎士とラケシスを見ると、二人の表情からは、触れれば切れるような緊張感は消えてなくなっていました。
「大丈夫姉さん? ちょっと寒いかな。早く馬車に乗らないと」
「ち、違うの、ちょっと埃が」
「それじゃあ、私たちはもう行きますので」
ごきげんよう――ラケシスは戦士式の礼をしました。「もうついてこないでください、ヴァイス様」
騎士が、ようやく口を動かしました。
「――分かった」
「―――!」
わたくしの胸が一拍、強く脈打ちました。
そんなことはきっとつゆ知らず、騎士はさらに続けます。
「今日は引き上げよう。ついていくこともない。ただし」
おもむろに人差し指を立て――。
「今日だけだ」
彼は、にやりと不敵に笑いました。
「何と言われようと、俺が諦めるわけないさ。そうだろう巫女よ?」
――わたくしは。
ラケシスの後ろから出ると、騎士をにらみつけました。
彼の顔を、真正面から見て……そうすれば、いつものように声が出るのです。
騎士はずっと無言でした。無言でラケシスを見つめ返していました。
背の高い、しかもハンターである二人が相対すると、それだけで空気が違います。他の者では近づけないぴりぴりとした緊張感――。
風が渡り、彼らの足下を乱していきます。
また砂埃が舞いました。わたくしは、たえきれず小さくくしゃみをしました。
「くしゅっ」
……。
「……アルテナ様、かわいい」
「レイリア!?」
わたくしは赤面しました。肩をすぼめておそるおそる騎士とラケシスを見ると、二人の表情からは、触れれば切れるような緊張感は消えてなくなっていました。
「大丈夫姉さん? ちょっと寒いかな。早く馬車に乗らないと」
「ち、違うの、ちょっと埃が」
「それじゃあ、私たちはもう行きますので」
ごきげんよう――ラケシスは戦士式の礼をしました。「もうついてこないでください、ヴァイス様」
騎士が、ようやく口を動かしました。
「――分かった」
「―――!」
わたくしの胸が一拍、強く脈打ちました。
そんなことはきっとつゆ知らず、騎士はさらに続けます。
「今日は引き上げよう。ついていくこともない。ただし」
おもむろに人差し指を立て――。
「今日だけだ」
彼は、にやりと不敵に笑いました。
「何と言われようと、俺が諦めるわけないさ。そうだろう巫女よ?」
――わたくしは。
ラケシスの後ろから出ると、騎士をにらみつけました。
彼の顔を、真正面から見て……そうすれば、いつものように声が出るのです。