幸せの探し方
「決める権利はあなたにあるので僕は何も言いませんが…」

高天原さんはそこで言葉を区切ると、わたしを見つめた。

「候補として対象に入れてくれたら嬉しいです」

「えっ…」

わたしの心臓がドキッ…と鳴った。

「こ、候補ですか…?」

「僕もその中に入れてくれたら嬉しいな、なんて…」

高天原さんはクスクスと、それは楽しそうに笑った。

「それでは、また」

「あっ、はい…」

高天原さんがそう言って部屋を出て行った。

バタンとドアが閉まったのと同時に、わたしは頬に手を当てた。

「候補…」

高天原さんの一面を知ったせいもあってか、そんなことを言われたせいもあってか、いろいろなことを意識してしまう。

「ドキドキが止まらない…」

高天原さんがどう言う意味で言ったのかはよくわからないけど、ドキドキが止まらないのは確かなことだった。
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