チューリップ~君に贈る花~
「『現世』に…、俺が?」
そうつぶやくと同時に、突然、この世界に来る前の記憶が頭の中で一気にフラッシュバックしてきた。
楽しかった記憶や、悲しかった記憶、あの頃の『日常』が鮮明に思い出される。
…そりゃあ、戻れることなら戻りたいとどれだけ願ったことか。
この世界に来たばかりの時は、どうやったら元の世界に戻れるのかって、そればかり考えていた。
だけど、どうやったって無理なんだろうな…って、そう思っていた。
不可能なことに期待したってむなしくなるだけだから、出来るだけ、考えないようにしてきた。
それなのに…
「出来るのか?
そんなことが…」