一番好きなのは、キミだから
え!?
頬を伝いすべり落ちた滴が、七星ちゃんが手にする文庫本のページを濡らした。
七星ちゃん、なっ泣いてる!?
なんで!? 訳が分からず、俺はあたふたする。
" あれ? 新川さん、泣いてる? "
" 澄野が泣かせたのか? "
クラスメイトの、そんな声が聞こえてくる。
なぜかいつの間にか、皆に注目されている。
クラスメイトの……いや、特に七星ちゃんファンの男子の鋭い視線が痛い。
ていうか、俺が七星ちゃんを泣かせたことになっているのか。
もしかして、俺が今肩を叩いたから……?
軽く叩いたつもりが、きつかった?
とりあえず、まずは謝らないと。
「な、七星ちゃん……ごめんっ!」