【完】夢見るマリアージュ
「――ずっと北斗さんに憧れていて…!
でも北斗さんの周りには沢山の女性が居て…中々話をするきっかけも掴めなくって…。
でも、あの、私入社当初から北斗さんに憧れていて…
好きですッ!」
エレベーターが開くのと同時に、一歩踏み出した足を止める。
慌ててエレベーター内に戻ろうとするも足がもたれて、結局前のめりになってしまいエレベーター内から追い出されてしまう。
ウィーンと静かな音を立ててエレベーターがゆっくりと上へと上がっていってしまう。
サッと身を隠すようにその場にしゃがみこみ、息を潜める。
何故ならば少し離れた先で今まさに新しいカップルが誕生しようとしていたからだ。
胸がドキドキしていた。 人が告白する現場を見るのは初めてだったからだ。 そして告白している相手は――岸田さんに並んで社内では男性ファンの多い 青柳 雫 さんだったからだ。
高嶺の花と呼ばれる岸田さんとはタイプが違い、ふんわりと女性らしく清楚なタイプの女性で阿久津フーズファクトリー内では’お嫁さんにしたい社員ナンバー1’だと囁かれている。
部署が違えど短大卒で入社した彼女とは同い年なのである。