【完】夢見るマリアージュ
「なによ、あれ。キモイ、ぶりっ子」
隣で岸田さんは機嫌が悪そうにビールジョッキをぐいっと飲み干す。
「あはは、でも…お似合いですよね」
「そう?!どこが?!見てよッ、あの北斗さんの迷惑そうな顔。
大体青柳、諦めるって噂聞いたけど?あの様子じゃ全然諦めてないじゃないッ」
北斗さんと青柳さんは傍から見てもお似合いだった。 ふんわりとした花のように愛らしい社内お嫁さんにした人ナンバー1。
岸田さんは迷惑そうだと言ったけれど、私から見れば北斗さんは迷惑そうには見えなかった。 楽しそうにしている。その姿を見て、ぎゅっと胸が締め付けられる。
自分勝手な話だ。
ここ一ヵ月彼を避け続けたのは自分の方なのに…。
「それよりあなた北斗さんとはどうなっているのよ?!」
「シーッ! 岸田さん声がデカいッ!」
「何よ、私に口答えするなんて生意気じゃないの?
私はてっきりあなたと北斗さんが上手くいっていると思って……
それにジムにだって頑張って通ってるじゃない」
「もう、いいんです。北斗さんの事は……」